メインテナンスPreventive Dentistry
代わりのない大切な歯。だからこそ、自宅でのケアと歯科医院でのケアの両方で、しっかりと守りましょう。
せっかく時間をかけて虫歯を治しても、治療後のケアを怠ってしまえば、再発してしまいます。
治療→再発→治療、と繰り返すうちに治療する部分はどんどん大きくなっていき、
最終的には歯を失うことになってしまうでしょう。
悪くなってからの治療ではなく、悪くならないために日ごろからの予防に取り組み、
自分の歯をできるだけ長く保っていきましょう。
定期検診の大切さ
歯医者に行くのは痛くなってから、被せものが外れてからという方が大半ではないでしょうか。
これは我々歯科医師にも責任があると思いますが、諸外国に比べても日本は定期健診の受診率が極端に低いです。
日本はわずか2%の方しか定期健診を受けていないのが現状です。これは歯に対する考え方が根本的に異なることから起きています。
日本は、悪くなったところを治しに行くのが歯医者であるという認識です。諸外国は、悪くならないように行くところが歯医者であるという認識です。
この認識の違いは将来残る歯の数にはっきり差となって表れます。
8020運動というのはもしかしたら聞かれたことがあるかもしれませんが、これは20本以上の歯があれば食事をするのにおおむね満足出来ると言われているためにこの数値になっています。
ある雑誌のアンケートで、老後にやっておけば良かったと思うものの第一位が「歯の定期健診」に選ばれたことがあるぐらい歯を失って不自由されている方が多いのが現在の日本の状況なのです。
そのため何も症状がなくても、むしろ症状がない時こそ歯医者に行って定期健診を受けることが歯を残すためには大切です。
予防のために大切なこと
虫歯と歯周病を予防することが、メインテナンスの目的です。
そして歯に付着したり歯と歯肉の間に溜まったりした、プラークやバイオフィルム(歯周病菌などの微生物やその代謝物の集合体)、歯石に、虫歯や歯周病の原因菌は住みついて増殖していきます。つまりメインテナンスでは、このプラークと歯石をしっかり除去することに取り組みます。
口の中に常に存在する菌
虫歯と歯周病の原因となるそれぞれの菌は常在菌と呼ばれ、人の口の中に常に存在しているといわれる菌です。
完全にこの菌を取り除くことは難しいので、菌が増殖しないように継続的なケアが必要になります。
●メインテナンスのコスト
予防のために定期的に歯科医院へいくことは、時間や費用面でコストに感じるかもしれません。
しかし、しっかりと予防を行い定期的な検査を行えば、虫歯や歯周病の影響を最小限に抑えることができます。
虫歯や歯周病が進行してしまい、神経を抜いたり、歯を失って入れ歯などになってしまうコストを考えれば、予防にかかるコストは非常に小さなものになります。
予防のための取り組み
歯科医師と担当衛生士によりきめ細かい予防処置を行います。
どこに原因がありそれによりどんな影響がでているのか、
どのように改善・予防をおこなえばいいのかを患者様に合わせてご説明します。
定期健診
予防のためのケアをしていても、完全に虫歯や歯周病を防ぐことはできません。気づかずに病気が進行してしまっている場合があります。
そういった異変を早期発見・早期治療するために、歯科医院での健診を3?6ヶ月に一度受けるようにしてください。PMTC
自宅でしっかりと歯みがきをしていても、どうしても取り切れずに残ってしまう汚れがあります。そういった除去しにくい汚れを、歯科医院の専用の機械と技術で徹底的に落としていくのがPMTCです。 歯の表面がつるつるになり、お口の中がさっぱりします。
歯石除去
歯みがきなどでも取り切れなかったプラークが固まり、こびりついてしまったものが歯石です。
歯石は歯ブラシでは取ることができません。
超音波を用いた専用の器具で、歯石を砕きながら取り除きます。
歯みがき指導
多くの方が自己流のやり方で歯みがきを行っていて、正しい方法で歯みがきが出来ている人は少ないのが実情です。歯ブラシの選び方・持ち方・動かし方など、分かりやすく指導します。
生活習慣指導
一日中だらだら食べていると、虫歯になりやすくなります。口の中の健康のための、正しい食事の仕方や生活の行動など、生活習慣の指導を行います。
フッ素塗布
フッ素を塗布すると歯質が強くなり、虫歯菌の出す酸に対して乳歯が溶けにくくなります。またフッ素は歯の「再石灰化」を促すので、小さな虫歯であればは治る場合があります。
シーラント
生えたばかりの乳歯の奥歯には深い溝があり、そこから虫歯になってまうことが多いです。そこでその溝を、あらかじめプラスチック(シーラント)で埋めてしまうという予防方法です。
唾液・顕微鏡検査
お口の中の状態を見える化し、効果的なケアの方法をお伝えします。主に「虫歯リスク」「歯周病リスク」「口臭リスク」の3つのリスクを判定することができます。
唾液検査は、ブクブクうがいの出来る方であれば行うことができます。
検査方法は簡単です。唾液検査はコップの水を10秒ブクブクするだけで、顕微鏡検査は歯間ブラシで少しプラークを取るだけです。
検査費用:両検査併せて1500円(税込)歯の年齢診断
ご自身の歯の年齢が数値化できる「歯の年齢診断プロ」という日本初のシステムを導入しております。当院に診療に来ていただいた方(20~80歳対象)には無料で実施しており、より明確に歯の状態をお伝えしています。
(※歯の年齢診断のみ希望というのは受付けておりません。ご了承ください。)
メインテナンスQ&A
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Q:メインテナンスだけで通っても良いのですか
A:もちろん大丈夫です。歯周病や虫歯にならないためにメインテナンスのみで通っていらっしゃる方もたくさんいらっしゃいます。
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Q:メインテナンスにはどれくらいの間隔で通いますか
A:3~4ヶ月に1回メインテナンスをおすすめしております。
「歯周病の治療を受けた後、適切なセルフケアを行なうことができていた場合でも、歯周ポケット内の歯周病菌の数は、3ヶ月で元の値まで戻ってしまう」という論文データが、3ヶ月に1回のメインテナンスの根拠となっています。 -
Q:歯科医院のメインテナンスとセルフケアは何が違いますか
A:歯科医院では、ブラッシングだけでは落とせない汚れを落としていきます。
「歯石」や「バイオフィルム」と呼ばれる細菌の膜を専用の器械で除去します。 -
Q:フッ素は虫歯予防に効果的なのですか
A:フッ素は虫歯予防に効果的です。虫歯の原因菌の働きを弱め、歯から溶け出したカルシウムやリンの再石灰化を促進します。それにより歯の表面を強くして、虫歯になりにくくします。
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Q:メインテナンスに通っていれば歯周病にはなりませんか
A:歯科医院で行うメインテナンスだけでは、歯周病を防ぐことはできません。ご自宅でのセルフケアも並行して行う事が重要になります。
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Q:セルフケアだけではダメですか
A:セルフケアでは、歯石やバイオフィルムといった汚れは落とせません。歯科医院のメインテナンスと並行して行うことが虫歯や歯周病の予防になります。
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Q:メインテナンスはどんな事をしますか
A:歯周病の状態を検査し、専用の器械を使用して、歯石とバイオフィルムを除去していきます。磨き残しが目立つ場合は、歯磨き指導も行います。同時に虫歯のチェックも行います。
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Q:メインテナンスは痛いですか
A:通常は強い痛みはありません。しかし、歯ぐきが腫れていたり、冷たいものがしみるなどの症状がある方は、痛みを感じることもあります。
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Q:メインテナンスは1回で終わりますか
A:定期的に来て頂き、歯石が少ない状態であれば1回で終わることが多いです。しかし、歯石の量や歯周病の状態によっては複数回になることもあります。どうしても1回がいいなどのご要望がある場合は、お電話にてご相談ください。
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Q:メインテナンスの治療時間はどれくらいですか
A:通常1回30分~45分です。
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Q:メインテナンスに通うのはお金がもったいない気がします
A:メインテナンスを行うことで、虫歯や歯周病になった際にかかるお金や時間を節約できます。虫歯が大きくなる程、治療費も治療時間もかかります。歯を失うと様々な健康リスクを高め、寿命にも影響を与えます。 メインテナンスと医療費の関連を調べた調査があります。トヨタ関連部品健康保険組合(愛知県豊田市)と豊田加茂歯科医師会の共同調査によると、年2回以上、歯医者で歯石除去をしている人は、48歳までは医療費が平均より高かったものの、49歳以降は平均よりも総医療費が安くなり、65歳では15万円の差が生まれるという調査があります。 老後にやっておけば良かったことアンケートでは、歯のメインテナンスは第1位です。今、問題が起きていないと実感がわかないかもしれませんが、メインテナンスを行うことが結果的に医療費の削減と身体の健康に繋がります。